[ NEWS & REPORT ]

2022.10.10/ お知らせ

開催レポート 井戸端会議vol.2「もっと魅力的な場に!リニューアルへの期待」

2022 年8 月、宮城県美術館リニューアル基本方針に基づく基本設計の概要が公開されました。

当然ながら県民の期待は大きく、各分野でも注目されていますが、工事の詳細はもとより、そもそもどのように改変され、どのように使うことができるのか、具体的な活かし
方が見えない点は気がかりです。

ということで、2回目となる「県美ネット井戸端会議」のテーマを「もっと魅力的な場に!リニューアルへの期待」と題して開催しました。

まず県美ネット事務局より、宮城県が公開している県美リニューアル基本設計の概要をもとに、2023年4月からの2年間の閉館期間中に、どのようにリニューアルが進められていくのか、図面から分かることを解説していきました。

当初、収蔵庫の拡充等を含めて増築を想定して計上された改修費用は約60億円。しかしながら、2019年11月の突然の県美移転案が出て、現地存続を願うたくさんの市民の声が集まった結果、2020年11月に「県美は増築なしで現地存続」という決定がなされ、改修費用も30億円まで減額されました。

そのため、

  • ●講堂の撤去(キッズ・スタジオと県民ギャラリーに用途変更)
  • ●県民ギャラリーの面積縮小(新・県民会館に一部移設のため)
  • ●老朽化対応のための設備更新の一部実施

以上のことを含め、全体的に当初の計画よりも規模が縮小した設計案となっています。

井戸端会議2

説明を聞いた参加者からも、「外階段のアプローチが活きない計画ではないか」「地階から地上階に移ったことによる県民ギャラリー搬入時の安全性はきちんと確保されるか」「設立当時の素材活用は果たされるのか」等の指摘がなされました。

後半では、会場からの意見をもとに、もっと魅力的な場に県美をするための意見を出し合いました。

 

当日の議論を以下にまとめます。

 

【1】屋内と屋外がフラットに接続するための工夫がほしい!

・中庭がもったいない。もっとアクティビティが生まれてもいい場所。ギャラリーに使うなど、積極的な利用を検討してほしい。

・外階段が現計画では活かされないのがとてももったいない。あの空間を使って、月替わりで若手作家に作品を展示させて人気投票(コンペ)してはどうか。

・屋外はもっと使えるはず。アーティスト側が空間づくりにも関われるようになったらいいと思う。

 

【2】現在の県美の魅力は維持してほしい!

・1階に移設される新しい県民ギャラリーの搬入搬出動線が心配。安全性に大いに不安がある。搬入口がメインアプローチにかぶり来館者の動線と重なるのは事故を招きかねないし、マアヤンにぶつかったら作品も破損する可能性もある。現在の搬入動線は、作家にとっては有難い。

・現在の県美の動線は前川建築の意志の表れ。それをしっかりと継ぐことも大事だと思う。

・補修が必要な路面タイルや壁面タイルは、当時の技術が残っているのか。残っていたとしても、そこにしっかりと事業費を充てて再現してくれるのか。重厚感は維持してほしい。

 

【3】多様な利用者へのバリアをなくしてほしい!

・人口減少社会の中で、新しく来館者を開拓していく必要がある。車いす利用者への配慮や乳幼児のための設備対応等、さまざまな利用者が安心して滞在できる場所を目指してほしい。

 

【4】百年存続を目指した体制づくりを意識してほしい!

・あと30年で人口が半分になる。そのときメンテナンス経費はどう捻出するのか、長期的構想をいまから考えて対策しておく必要がある。

・リニューアル後の運営体制や市民の関わり方等、現状から改善できるところを意識した改革に取り組んでほしい。

・今回の改修も行政任せになっている。そこに市民は関われない?クラウドファンディング等、市民が積極的に関わる方法を模索することも必要な時代だと思う。

・今回の改修にとどまらず、市民が関心を持つことが必要だし、行政との連携も必要。継続的に県美を見守っていくための体制構築が大事だと思う。

 

【5】休館中も県美が有する資源の魅力を発信し続けてほしい!

・特設サイトを解説して県美の思い出を募る等、これまでの40年をつないでいくような取り組みを期待したい。

・TikTokをはじめとしたSNSを活用して、若者層への訴求を意識してほしい。

・出張美術館等、県美の外で県美の作品を楽しめるような工夫をしてほしい。

 

そして、何よりも「私たち市民が〈自分事〉にしながら県美と関わっていくこと」が最も重要なのではないかという意見が出ました。「県美の庭・草むしり隊の結成」「100年目指して定点観測」「路面タイル購入による応援」等、さまざまなアイデアが出されました。

市民側からできるアプローチもたくさんあることに改めて気づいた今回の井戸端会議行政に声を届けつつ、県美ネットも市民側として常にアクションを起こしながら県美の魅力発信に取り組んでいきたいと思いました。

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

 

 

 

「#道草アートみやぎ」の取り組み

#道草アートみやぎ

 

また、市民同士がアートでつながるプロジェクトとして9月からスタートした「#道草アートみやぎ」の取り組みも発表されました。

宮城県美がリニュアール工事で閉館しても、街なかにあるアート作品を見つけてつながりたいと考えています。

散歩の途中や出先で作品を見つけたら、写真に撮って「#道草アートみやぎ 」と添えてつぶやいてみてください。

プロフィール画像&アイコンは、翁観二作《谷風の像》です。

ご本人に使用の許可をいただきました。

 

見つけた写真をツィートする際には、分かる範囲で良いのでこれらを添えてくれると嬉しいです。

①作品名

②作家

③場所

④オーナー

⑤推しポイント

#道草アートみやぎ を添えてください。

*私有地・私有空間にある作品を取材する場合は、必ずオーナーさんに許可を得てください。

*アート未満?と思われる造形には #これもアートかな を添えてね!