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2023.06.27/ 活動報告

開催レポート「しばしお別れ宮城県美術館リニューアル直前 建物見学会」

6月11日(日)、いよいよ始まる改修工事のため、19日から長期休館に入る、宮城県美術館の建物見学会を実施しました。

小雨が降るあいにく天気でしたが、15名程の参加があり、変わってしまう講堂や造形遊戯室などを中心に建物を見てまわりました。

1981年竣工の宮城県美術館は、晩年の前川國男による設計です。前川は、さまざまな建築を設計してきたなかで、日本の気候風土において、鉄筋コンクリート打ち放しは経年劣化のリスクが大きいことに気づきます。そこで外壁のタイルとコンクリートを一体で固める『打込みタイル構法』を開発しました。これにより雨風からコンクリートを守り、且つ地震等でも剥がれ落ちにくい外観が実現しました。

老朽化が話題になりがちな県美ですが、設計当初から永続性が考えられていた、サスティナブルな建物であるとも言えます。

事務局メンバーの説明を聞きながら、外壁の隙間から手を入れて確認する参加者のみなさん。

今回のリニューアル工事では、従来の県民ギャラリーは「新展示室」や「収蔵庫(一部分は「見える収蔵庫」となる)」に、講堂は「キッズ・スタジオ」と「新県民ギャラリー」に、図書室は「情報・交流ラウンジ」に改修されます。また「ミュージアムショップ」や「レストラン」拡充のため、造形遊戯室はなくなり、新しい「キッズ・スタジオ」にその機能が引き継がれます。

 

造形遊戯室のふかふかなカーペットや角のない素朴な積木の遊具などなど、名残惜しいです。

 

これまで主に作品鑑賞に来ていて建物をじっくり見たことがなかった人も、みんなで一緒見学しながら、各自の美術館との思い出を振り返ったのではないでしょうか。

その思いが末長く受け継がれていくように、改修後も長期運用を見据え、百年存続するような美術館になることを望みます。