[ Q&A ]

GUIDEBOOK

移転問題についての詳しい説明はハンドブックにまとめています。下記よりダウンロードください。

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Q&Aよくある質問・疑問に答えます

Q1. 宮城県美術館ってどんなところ?

宮城県美術館は1981(昭和56)年11月開館しました。作品の収集は宮城県および東北地方にゆかりのあるものを中心に幅広くすすめられ、明治時代以降現代までの日本画、洋画、版画、彫刻、工芸などのほか、カンディンスキー、クレーなどの外国作品や戦後日本の絵本原画も収蔵されています。1990(平成2)年6月には、本館西隣に佐藤忠良記念館がオープンしました。また、当美術館では常設展や特別展を見るだけでなく、作ることによって美術を体験することができます。創作室には絵画、版画の制作や、木、金属、土などを材料とした制作ができるような道具と、具体的なアドバイスを行うスタッフがおります。さらに、各種の公演会など実施することによって、美術とそれにかかわる幅広い表現領域にまでおよぶ創造的な体験の場として、地域に根ざした、開かれた美術館をめざしています。
ー宮城県美術館ウェブサイトより転載

Q2. 現在の建築・立地はどんなところ?

宮城県美術館は、旧仙台城内に位置しており、仙台市博物館や仙台国際センター、東北大学川内キャンパス、宮城県仙台第二高等学校などが集積する本県有数の文教地区に立地しています。この地区は、広瀬川や青葉山など「杜の都仙台」を象徴するような素晴らしい環境に包まれています。美術館では、清流と河岸の緑が織りなす自然の調和を感じることができます。本館は、日本を代表する建築家の一人である故前川國男氏の設計によるものであり、美術館として高い合理性を有し、建設省(現国土交通省)の公共建築百選にも選ばれています。1990年に増築された佐藤忠良記念館は、前川國男設計事務所の出身者である大宇根弘司氏が設計を手掛けました。増築時に、本館との間に彫刻庭園であるアリスの庭も生まれました。※上記は、宮城県が平成29年に発表した宮城県美術館リニューアル基本構想の9ページを元に短くリライトしたものです。(最後の佐藤忠良記念館の項目は宮城県美ネットが執筆)

Q3. 建築家 前川國男ってどんな人?

宮城県美術館 本館を設計したのは、戦後の日本建築界を代表する建築家 前川國男。作品が世界遺産にも登録されているフランスの建築家 ル・コルビュジエに師事し、日本のモダニズム建築をリード。戦前から戦後にかけて重要な足跡を残しました。 その作品は日本のモダニズム建築の遺産として、改修して使い続ける例が増えています。首都圏はもちろん、地方でも青森県弘前市や福岡市、熊本県など全国各地で大切にされています。

Q4. 宮城県はどんなプランを進めているの?

宮城県が考えているプランは、仙台市宮城野区の仙台医療センター跡地に、宮城県美術館、宮城県民会館、みやぎNPOプラザの3つの施設を移転・集約して新築するというものです。宮城県美術館は開館から30年以上が経過し、施設の老朽化が進み、求められる機能も変化していることから、2018年3月に現地改修を前提とした「宮城県美術館リニューアル基本方針」を策定・発表していました。しかし、そのリニューアル案をくつがえして、2019年11月、県は移転案を突然発表しました。移転案に対して多くの反対の声があがりました。反対署名は1ヶ月半で17000 筆も集まり、議会でも多数の反対意見が出され、マスコミも大きく報じましたが、県は移転方針を変えていません。県民の大きな反対の声を受け、現地リニューアルと移転集約それぞれのメリット・デメリットを2020 年度内で検討し決定すると発表しましたが、県側としては移転・新築を進めたいという意図が見えるので、注視していく必要があります。

Q5. 移転案って何が問題?

多くの問題があります。建築物の価値や県民の愛着を無視して国の補助金ありきで移転案を進めていること、美術や建築家をメンバーに入れない会議で移転を決めようとしていること、改修のメリット・移転のデメリットを過小に表現し、重要な情報を周知していないこと、都市計画のビジョンなしに仙台市との協議も不十分であることなど、他にもあまりにも多くの問題があります。県民や議員から多くの反対意見や懸念が表明されているにもかかわらず、計画をストップしていないことに対して、多くの県民・利用者が危機感を募らせています。行政と住民の信頼関係にとっても非常に大きな問題です。

Q6. 美術館の建物は老朽化して使えない?

最低でもあと50年は使えると考えられます。老朽化は一部だけで、改修可能です。県は、美術館の老朽化を移転理由のひとつに挙げていますが、設計に携わった建築家の大宇根弘司氏によれば、最低でもあと50 年は使えるそうです。2018年には美術館のリニューアル方針を県が発表したことから考えても、改修して長く使うことは可能です。コンクリートはとても頑丈なつくりで、東日本大震災でも壊れませんでした。タイルの割れや壁面の汚れはありますが、これは補修可能です。また、新しい建物を建てても老朽化はしていきますし、定期的な改修は必要です。ランニングコストもかかってきます。今の技術で新築することで、ランニングコストが多少安くなる可能性はありますが、いまの建物が今後獲得していく歴史的・文化的価値や、観光資源としての価値について、各分野の専門家を入れて比較検討する必要があります。

Q7. 移転するといまの建物はどうなるの?

想定されている国の補助金を移転に使う場合、今の建物は解体か売却しなければなりません。県が使うと思われる総務省の補助金には、「集約化・複合化事業」、「長寿命化事業」などいくつかのメニューがありますが、宮城県が利用するのは「集約化・複合化事業」だと考えられています。このメニューを選択する場合、移転先の建物が使われ始めてから5年以内に現在の美術館の建物を解体・売却しなければ補助金が支払われないというルールになっています。

Q8. 移転すれば今より広い美術館が建つの?

いまより確実に面積が減ります。 総務省の「集約化・複合化事業」の補助金を利用する条件として、集約する建物の面積の合計よりも、新築する建物の面積を少なくする必要があります。たとえば、3つの施設の面積をそれぞれ1とするなら、新築する建物の面積は3より小さくなければならないということです。県のプランで集約候補となっている宮城県民会館は、これまでより席数を大幅に増やし、舞台裏の空間も広げる予定です。となると、会館が広がった分だけ、美術館やNPO プラザの面積が削られることになります。美術館の面積は確実に減ります