2022.05.15/ 活動報告
新しい団体「宮城県美術館の百年存続を願う市民ネットワーク(略称:宮城県美ネット)」になって初めてのイベントとなった今回の「井戸端会議」。
2023年度から始まる宮城県美術館のリニューアル計画を踏まえ、「公共空間としての県美を、もっと主体的に市民が使うための手法」を具体的にともに考える場として企画しました。
【参考リンク】宮城県美術館の集約移転計画が発表される前に策定されたリニューアル案(平成30年度)
https://www.pref.miyagi.jp/documents/26549/670543.pdf
【参考リンク】宮城県美術館の現地存続を受け、更新されたリニューアル案(令和2年度)
https://www.pref.miyagi.jp/documents/26550/836331.pdf
印象的だったのは、参加者の皆さんから寄せられた声の多くが、「今の県美が有する資源を活用するだけで、もっともっと良くなる!」という意見だったことです。
屋外空間の豊かさ、前川建築の夕暮れ時の美しさ、子ども連れでも安心できること等、今の県美が素晴らしいからこそ、もっとその良さを共有できる場面をつくってほしいという声がたくさん聞かれました。
足りない点として挙げられたのは、「オリジナル企画の充実」です。
もっと地域性を活かした展示を観てみたい、作家の制作過程に触れてみたい等、県美でしかできない体験を望む声が聞かれました。
また、美術好きの特定の層だけでなく、いろんな人が県美を訪れるようになってほしいという声も上がりました。
そのためにはさまざまな工夫が必要ですが、現場の学芸員さんだけが頑張るのではなく、市民もそうした状況をつくるためのお手伝いができるようになる仕組みづくりが必要ではないかという意見が交わされました。
「こうなったらいいな!」を実現するために、リニューアル工事が進行する2年間(2023~2024年度)は良い機会にする必要があると改めて感じました。
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「こうなったらいいな!」の実現のために、市民ボランティアとしてもっと主体的に関わる場面をつくることができないだろうか、という声がたくさん寄せられました。
実際に、「アートコミュニケーター」という肩書で活躍する市民の姿が他都市の美術館ではみられます。
現地存続運動で市民の力が発揮された仙台・宮城において、その力を今度は県美を更に良くするために発揮できそうな気もします!
「美術作品を観るだけではない市民の関わり方」はもっとありそうです。
美術館に詳しい方からは「博物館法改正による美術館の観光資源化」を懸念する声も上がり、同時に、市民の力で「文化芸術資源」としての魅力を磨いて発信することができるのではないかという可能性も示されました。
創作室や屋外空間といった、県美がもともと持っている「自由度」をどのように維持していくか、それは市民の「空間の使い方・関わり方」が重要になりそうです。
最後に、よく県美を利用される方から「名もなき利用者たちの体験の蓄積が、これからも空間の価値を形成していくのではないか」という指摘がありました。
まさに「愛着を醸成しながら関わり続けること」が「わたしたちの県美」を育てることになるのではないか、というご意見です。そのために市民の立場で、そして宮城県美ネットの立場で出来ることは、まだまだありそうです。
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今回の井戸端会議をとおして、宮城県美術館が閉じている間も、市民同士で繋がりながら「宮城県美術館を盛り上げていくこと」はできそうな気がしてきました。
楽しい妄想が膨らんでいきます!
今回いただいた意見を参考にしながら、宮城県美ネットの次のアクションを具体的に検討していきたいと考えています。
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!
会場としてお借りした宮城県民会館の会議室からは、3年ぶりの仙台青葉まつりが見えました。